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心理学に関する書籍の書評を行っています。

認知行動療法

著者:

坂野 雄二 (著)

 

目次:

第1章 なぜ認知が問題となるか
第2章 何が認知行動療法の発展を引き起こしたか
第3章 認知とは何か
第4章 認知をどのように評価するか
第5章 セルフ・エフィカシーと行動変容
第6章 原因帰属の型と行動変容
第7章 うつ病認知療法
第8章 神経性食欲不振症の認知行動療法
第9章 ストレスと認知
第10章 社会的スキル訓練と認知行動療法
第11章 認地行動療法における患者との関わり方
第12章 わが国における認知行動療法の発展

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大脳皮質と心―認知神経心理学入門

著者:

ジョン スターリング (著), John Stirling (原著), 苧阪 直行 (翻訳), 苧阪 満里子 (翻訳)

目次:

第1章 脳と心のはたらき
はじめに/脳の研究小史/機能局在論争/分散コントロール/まとめ/読書案内

第2章 脳の構造
はじめに/ニューロン仮説/神経系を分類する/中枢神経系(CNS)/皮質/皮質葉/まとめ/読書案内

第3章 神経心理学の方法
はじめに/脳の構造と機能の測定方法/神経心理学的評価/まとめ/読書案内

第4章 ラテラリゼーション
はじめに/構造的な違い/分離脳症候/脳梁非形成/健常者での非対称/ラテラリゼーションとは何か/脳梁を介した半球情報伝達/脳の体制化と個人差/まとめ/読書案内

第5章 感覚と運動機能
はじめに/体性感覚システム/運動コントロール/まとめ/読書案内

第6章 言語と脳
はじめに/ブローカ失語症/ウェルニッケ失語症/言語のコネクショニスト・モデル/心理言語学的アプローチ/神経生理学的アプローチ/言語とラテラリティー/まとめ/読書案内

第7章 視覚のメカニズムと知覚
はじめに/感覚と知覚/感覚過程-眼から脳へ/知覚過程/物体認知-「何が」のストリームと失認/空間機能と「どこに」のストリーム/空間処理に固有の障害/空間知覚と「どこに」ストリームの評価/まとめ/読書案内

第8章 3つの研究報告
はじめに/研究1/研究2/研究3

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睡眠障害に対する認知行動療法:行動睡眠医学的アプローチへの招待

著者:

マイケル・L・ペルリス (編集), マーク・S・アロイア (編集), ブレット・R・クーン (編集), 岡島 義 (翻訳), 福田 一彦 (翻訳)

 

目次:

1章 不眠症の行動睡眠医学的介入プロトコル 
2章 睡眠制限療法 
3章 刺激制御療法 
4章 睡眠衛生 
5章 不眠に対するリラクセーション 
6章 睡眠圧縮療法 
7章 逆説志向療法 
8章 行動実験 
9章 睡眠に関する非機能的な信念を軽減させる介入 
10章 誤認を減少させる介入 
11章 安全確保行動に対する介入 
12章 睡眠に関する非機能的な信念と不眠に対する認知療法 
13章 認知再構成法:睡眠に関する破局的な信念に対する認知療法 
14章 集中的睡眠再訓練法:原発不眠症に対する条件づけ療法 
15章 不眠症に対するマインドフルネス療法 
16章 不眠症に対する簡易行動療法 
17章 不眠症の治療における高照度光の使用 
18章 動機づけ増強療法:陽圧呼吸療法(PAP)の
    使用アドヒアランスの動機づけ 
19章 ナルコレプシーに対する補完治療:計画的な睡眠確保 
索引
監訳者あとがき

 

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IQってホントは何なんだ?

著者:

村上 宣寛

 

目次:

第1章 知能とは何か
第2章 知能を測る
第3章 知能は幾つあるのか
第4章 新しい知能理論
第5章 知能テストはどのようなものか
第6章 頭の大きさと回転の速さ
第7章 年をとると知能は衰えるのか
第8章 遺伝で知能が決まるか
第9章 知能の人種差と男女差
第10章 知能テストと勤務成績

 

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進化心理学入門

著者:

ジョン・H. カートライト (著), John H. Cartwright (原著), 鈴木 光太郎 (翻訳), 河野 和明 (翻訳)

 

目次:

第1章 自然淘汰と適応
第2章 2つの性による繁殖
第3章 性淘汰
第4章 人間の性を解明する
第5章 心の原型--適応反応としての恐怖と不安
第6章 心の病を進化から説明する
第7章 脳の大きさの進化
第8章 知能の進化
訳者あとがき
用語解説
文献/索引

 

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行動の基礎

著者:

小野 浩一 (著)

 

目次

第1部 行動についての基礎知識
 1.序論
  1-1 行動分析学のあらまし
  1-2 行動についての考え方

 2.人間は生体である
  2-1 生体の行動
  2-2 動物との連続性
  2-3 社会的存在

 3.行動は身体の変化である
  3-1 身体器官
  3-2 身体で生じていること―3つの事象レベル
  3-3 「こころ」のありか
  3-4 心理学の対象としての私的出来事

 4.身体変化の原因は環境にある
  4-1 内的原因か環境か
  4-2 なぜ原因を環境に求めるのか
  4-3 身体変化は生体全体の連鎖的出来事である

 5.3種類の環境変化がある
  5-1 生体の状態を変える環境変化
  5-2 行動のきっかけとなる環境変化
  5-3 行動の後に生じる環境変化

 6.2種類の行動がある
  6-1 レスポンデント行動とオペラント行動
  6-2 2種類の行動の起源と生物学的制約
  6-3 レスポンデント行動とオペラント行動の具体例

第2部 レスポンデント行動
 7.レスポンデント条件づけ
  7-1 レスポンデント行動の学習はどのようにして起きるか
  7-2 パブロフの条件反射
  7-3 レスポンデント条件づけの決定因
  7-4 情動反応の条件づけ

 8.レスポンデント条件づけの諸現象
  8-1 保持と消去
  8-2 般化と弁別
  8-3 複合刺激によるレスポンデント条件づけ

 9.レスポンデント条件づけの新しい考え方
  9-1 反応がなくてもレスポンデント条件づけは起きる
  9-2 対提示の反復がなくても条件づけは起きる
  9-3 すべての刺激がCSになるわけではない
  9-4 レスポンデント条件づけの適用範囲の拡大

第3部 オペラント行動
 10.オペラント条件づけ
  10-1 オペラント行動の学習はどのようにして起きるか
  10-2 オペラント条件づけの初期の研究
  10-3 行動随伴性

 11.行動の獲得と維持、消去
  11-1 新しい行動の獲得―シェイピング
  11-2 行動の維持―基本的強化スケジュール
  11-3 消去

 12.複雑な強化スケジュール
  12-1 オペラントクラスと行動次元
  12-2 分化強化―結果による選択
  12-3 複合強化スケジュール
  12-4 行動の連鎖化

 13.負の強化―逃避行動と回避行動
  13-1 負の強化に関する古典的研究
  13-2 逃避条件づけの諸現象
  13-3 回避条件づけとその理論

 14.弱化
  14-1 正の弱化
  14-2 負の弱化
  14-3 罰的方法の使用に関する諸問題

 15.先行刺激によるオペラント行動の制御
  15-1 刺激性制御の基礎
  15-2 刺激性制御の諸現象
  15-3 高次の刺激性制御

 16.言語行動
  16-1 言語行動の基本的特徴
  16-2 言語行動の獲得
  16-3 言葉の「意味」と「理解」
  16-4 日常言語行動の特徴
  16-5 言語刺激による行動の制御

第4部 オペラント行動研究の展開
 17.選択行動
  17-1 並立スケジュールによる選択行動の研究
  17-2 並立連鎖スケジュールによる選択行動の研究

 18.迷信行動
  18-1 行動に依存しない随伴性のもとでの迷信行動
  18-2 行動に依存する随伴性のもとでの迷信行動
  18-3 人間社会と迷信行動

 19.社会的行動
  19-1 社会的随伴性
  19-2 模倣行動
  19-3 協力行動と競争行動
  19-4 行動における個体差

 20.研究と実践の統合
  20-1 応用行動分析学
  20-2 単一被験体法による研究デザイン

図表出典
引用文献一覧
索引

 

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認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版 -ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト‐

著者:

ジュディス・S・ベック (著), 伊藤 絵美 (翻訳), 神村 栄一 (翻訳), 藤澤 大介 (翻訳)

 

目次:

第1章 認知行動療法入門

第2章 治療の流れ

第3章 認知的概念化

第4章 インテークセッション

第5章 初回セッションの構造

第6章 行動活性化

第7章 第2セッション以降:面接の構造とその進め方

第8章 治療セッションを構造化する上での諸問題

第9章 自動思考を把握する

第10章 感情を把握する

第11章 自動思考を検討する

第12章 自動思考に対応する

第13章 媒介信念をとらえて変容する

第14章 中核信念をとらえ変容する

第15章 その他の認知技法と行動技法

第16章 イメージ技法

第17章 ホームワーク

第18章 終結と再発予防

第19章 治療計画

第20章 治療上の問題

第21章 認知行動療法家としての進歩

付録A 認知行動療法ケース報告書
付録B 認知行動療法のリソース
付録C 認知療法尺度

 

 認知療法創始者のアーロン・ベックの娘、ジュディス・ベックによる認知行動療法の入門書。国内外問わず評価が高く、理論を勉強する者より「実際に認知行動療法を行いたい」あるいは「認知行動療法を行うことになったがどうしたら良いかわからない」という者にとっては、この本から読み始めるのが良いであろう。

 1章では認知行動療法の入門編として、今までの歴史や流れ、現在の研究や認知行動療法を行う上での原則など、基本的な事柄に関する概説がなされている。2章では治療の流れとして、どの認知行動療法セッションにおいても共通する流れや考え方、手法について架空の事例の会話を踏まえたうえで解説されている。3章は認知的概念化として、目の前の患者やクライエントからの訴えをどのようにまとめ、認知行動療法的な観点から概念化していくかが述べられている。

 4章以降では、具体的なセッションの進め方について述べられている。4章ではインテークセッション、5章では初回セッションを扱う。2つの違いについては本書を見てもらえればわかるが、4章はいわゆる受理面接で、5章はセッションの初回、という位置づけになる。6章は行動活性化として、うつ病に対する行動活性化の基礎について解説がなされている。第7章では2セッション目以降のセッションでどのようなことを行っていくかが、具体的に述べられている。8章ではセッションを構造化する上で困難となる事例をいくつか紹介し、その時の対処法を具体例を示しながら紹介している。

 9章からは、技法の解説に移る。9章は自動思考を患者やクライエントがどのように見つけるか、そしてそれを援助するためのセラピストのテクニックについて扱う。10章では同じく感情を患者・クライエント自身がどのように見つけるか、セラピストはどのように援助していくかを扱っている。11章と12章では自動思考を患者・クライエントがどのように検討し、それに対処していくかを扱っている。9章と合わせて、ここでは認知再構成法の具体的手順や、「何を」「どのように」検討していくのが良いのかを丁寧に解説している。13章と14章では媒介信念・中核信念といった、自動思考の検討より一歩進んだ、個人が持っている信念を扱う方法について解説している。15章ではその他の技法として問題解決療法やリラクセーション、エクスポージャー、マインドフルネスといった技法が認知行動療法の中でどのように組み込むことが可能かを説明している。16章ではイメージ技法、17章ではホームワークの解説がなされ、18章は終結と再発予防についての解説である。

 19章では治療計画の立て方、20章ではいくつかの治療上で問題になりやすい点を挙げながら対処法について説明している。21章認知行動療法家として、どのようにスキルアップを図るべきかを解説している。

 以上に述べたように、内容は多種多様、しかし全て認知行動療法を実施する上では重要なものばかりである。この一冊を読破し、全て実践できれば認知行動療法家として初心者の域は超えたと言えるのではないか。ただ、各障害や心理的問題に合わせた見立てなどについてはこの本では述べられていないため、その辺りをカバーするには

madoro-m.hatenablog.com

を参照する必要がある。また、「認知とは何か」や自己効力感・原因帰属理論を使用した手法などを知りたければ

madoro-m.hatenablog.com

を参照のこと。

 しかし認知行動療法の基礎のほぼすべてが詰まった一冊であり、認知行動療法を実施する者は必ず読むべき一冊であることに違いはない。

 

おすすめ度:100点(認知行動療法を行うものは必ず読むように)

対象者:臨床心理士

 

認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版 -ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト‐

認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版 -ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト‐