新・脳の探検〈上〉脳・神経系の基本地図をたどる
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目次
第1章 脳・神経系への招待
第2章 脳の細胞のしくみと働き
第3章 脳の生涯発達
第4章 感覚系
第5章 運動系
第6章 体内環境の維持――ホメオスタシス
多くの授業で教科書に指定されている脳や神経系に関する専門書。脳関連の書籍は一般的に「大きい」「高い」「詳細」の3点セットなものが多く、初めて学ぶ者にとってはハードルが高かった。この本は文庫サイズかつ平易な言葉で重要な箇所を解説しており、脳や神経系の入門書としてかなり良書の部類である。質の高い入門書としては他に
がある。こちらは本書よりも平易かつコンパクトにまとまっているため、もし本書が難しく感じるようであれば、先にこっちを読むのもいいかもしれない。ただ、内容の豊富さは本書の方が格段上である。
第1章として、脳研究の歴史や脳構造の概観・各主要部位の解説を行っている。特に各部位の解説は、次章以降でそれらが出てくる度に読み返すことになるだろう。そうやって皆、少しずつ脳の構造について覚え理解していくのである。
2章は神経細胞の基礎として、神経細胞の構造や機能、神経伝達物質やグリア細胞の一般的な解説がなされている。3章では脳の生涯発達として胎児期からどのようにして脳が発達し、加齢に伴ってどのように変化していくかを解説している。4章では感覚系として、主に視覚系を中心に、聴覚・味覚・嗅覚系の解説も行っている。5章では運動系として、筋肉の概説から始まりニューロンとの関係や運動野、また小脳と基底核についてもあっさり目ではあるが触れている。6章では自律神経系を解説しており、交感神経系・副交感神経系や、視床下部、内分泌系やホルモン系がどのような働きを持つか、それによってヒトはどのような機能を日常の中で発揮できているか(体温調節・摂食・生殖など)を詳細に解説している。
脳や神経科学を初めて学びたい学部生から、大学院試験受検者、改めて復習したい研究者まで読者範囲は広いだろう。また、臨床心理士試験でも神経科学的な内容は出題範囲なため、試験を受けるものも一読を勧める。近年は臨床心理士でも脳神経科学的な知識が求められることも多いので、知っておいて損は無い内容ばかりである。特に神経心理学的検査を行う者は必ず読んだほうが良い。
下巻はより応用的な内容となっているため、本書を読んだ上で読むのが良いだろう。
おすすめ度:90点
対象者:学部生・大学院受検者・大学院生・臨床心理士試験受検者・研究者・臨床心理士(神経科学に興味ある人すべて)
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新・脳の探検(上)―脳・神経系の基本地図をたどる (ブルーバックス)
- 作者: フロイド・E・ブルーム,久保田競,中村克樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/01/21
- メディア: 新書
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