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オペラント心理学入門―行動分析への道

著者:

ジョージ S.レイノルズ (著)

目次:

1 実験的行動分析入門
1-1 オペラント条件づけとは?
1-2 行動の説明
1-3 行動記述のための基本概念
1-4 レスポンデント条件づけ
1-5 オペラント条件づけ
2 オペラント条件づけの研究
2-1 研究(research)とは?
2-2 研究の目標
2-3 実験的分析と生物個体
2-4 実験動物
2-5 実験装置
2-6 プログラミング装置
2-7 累積記録器
3 オペラント行動の獲得と消去
3-1 レスポンデント行動の獲得
3-2 オペラント行動の獲得
3-3 依存性・随伴性・迷信行動
3-4 オペラント行動の消去
4 オペラント行動の刺激統制
4-1 弁別刺激
4-2 刺激般化
4-3 弁別と般化
4-4 注意と刺激統制
4-5 刺激統制の限界
5 条件性強化子
5-1 正の条件性強化子と負の条件性強化子
5-2 条件性強化子の形成
5-3 反応と刺激の連鎖
5-4 条件性強化子の強度
6 正強化単一スケジュール
6-1 間欠強化スケジュール
6-2 スケジュール特有の反応遂行 その獲得と維持
6-3 4つの単一スケジュールで維持された反応の消去
7 多元・複合・並立強化スケジュール
7-1 多元強化スケジュール
7-2 複合強化スケジュール
7-3 並立強化スケジュール
8 レスポンデント行動とレスポンデント条件づけ
8-1 無条件性レスポンデント
8-2 条件性レスポンデント
9 嫌悪統制 逃避・回避・罰
9-1 逃避
9-2 回避
9-3 罰
9-4 その他の嫌悪条件
10 情動と動機づけ
10-1 情動とは?
10-2 情動の実験的研究
10-3 情動と動機づけの関係
10-4 オペラント条件づけにおける動機づけ

 

日本語で書かれた本の中では

madoro-m.hatenablog.com

と並んでよく行動分析学の教科書として用いられる本書。評判と違わず、行動分析学に関する基礎的な内容が網羅されており解説も丁寧である。

 1章では実験的行動分析学の入門として、三項随伴性やオペラント条件づけとレスポンデント条件づけの違い、強化子の種類(一次性強化子、二次性強化子)などのごくごく基本的な事柄がやや簡潔に述べられている。2章ではオペラント条件づけに研究の基礎として、実験動物や各動物によってどのような実験装置が使われるかを図解で解説している。またプログラミング装置や累積記録器の説明も1ページに満たない程度の分量で説明してある。

 3章ではオペラント行動の獲得と消去について解説されている。獲得部の内容としてはシェイピングの理屈とその実際的な手続きが中心である。単純な基礎知識だけでなく、正の強化による活動性増加やエサを強化子として機能させるための摂取制限、迷信行動についても解説されている。消去については、消去の効果に影響を与える変数として強化スケジュールがあること、自発的回復と呼ばれる現象があるといった程度の内容のみである。4章では弁別と般化を中心に解説している。基礎的な弁別と刺激般化の解説だけでなく、反応般化についての説明もなされている。反応般化についてはあまり解説されている書籍が少ないため、貴重である(といっても、分量は少ないが)。また、注意とオペラント行動の関係についても述べられている。ただ内容については

madoro-m.hatenablog.com

の方が詳しいため、本個所に関してはこちらを参照することを勧める。

 5章では条件性強化子について、どのように形成されるか、反応と刺激の連鎖について、その強化子の強度や般性強化子の存在について紹介されている。6章は強化スケジュールについて、間欠強化スケジュールにおける比率と間隔、変動と固定スケジュールの違いについて解説した後、そのスケジュール特有の行動傾向について解説されている。具体的にはVI、VR、FI、FRの4つのスケジュールの違いや各スケジュールに影響を与える要因について解説し、各強化スケジュールがどのような特徴を持っているかを丁寧に記している。強化だけでなく、各スケジュールによって獲得された反応の消去に関する説明も1ページで解説されている。7章では複雑な強化スケジュールとして多元スケジュールや複合強化スケジュール、並立強化スケジュールの解説が詳細になされている。

 8章はレスポンデント条件づけについて解説されている。ここでの解説についても

madoro-m.hatenablog.com

の本の方が詳細に解説されているため、レスポンデント条件づけについて詳しく知りたければこちらを読んだ方が良いだろう。 

 9章は嫌悪刺激が関連する行動として、逃避・回避行動の獲得と消去について、また罰(弱化)の解説がなされている。10章は情動と動機づけとして、主に情動を中心に基礎的な解説がなされている。

 本書の特徴は、強化スケジュールの解説であろう。単純な強化スケジュールから複雑な強化スケジュールまで、基礎的知識だけでなく事細かに行動傾向やあまり知られていないスケジュールまで多種多様に解説がなされている。基礎・応用問わず行動分析を学ぶ人であれば、必ず1回は読むべき一冊である。一応タイトルには入門と題されているが、行動分析学について初めて学びたいという人向けの書ではない。一通り行動分析学学習心理学の基礎を学んだ者が読んで、初めて価値が出る一冊であろう。

 

おすすめ度:80点

対象者:行動分析学の知識が一通りある人

 

オペラント心理学入門―行動分析への道 (サイエンスライブラリ心理学 9)

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