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よくわかる臨床心理学

筆者

下山 晴彦 (編集)

 

目次

臨床心理学とは何か1・構造と歴史
臨床心理学とは何か2・基本理論
問題を理解する(アセスメント)1・目的と方法
問題を理解する(アセスメント)2・データの収集技法
問題を理解する(アセスメント)3・データの分析技法
問題を理解する(アセスメント)4・異常心理学
問題を理解する(アセスメント)5・ライフサイクルと心理的問題
問題を理解する(アセスメント)6・発達過程で生じる障害や問題
問題に介入する1・理論モデル
問題に介入する2・介入技法 1個人
問題に介入する3・介入技法 2集団・社会

問題に介入する4・コミュニティにおける相談活動
臨床心理学研究
社会的専門性
臨床心理士になるために

 

 多くの学校で用いられる臨床心理学の教科書。

 第1章はいつもの下山節だなぁという感想以外は浮かばない(ただし、とても重要であることに違いはないが)。

 しかし2章以降はナラティブや科学者ー実践家モデルといった思想の話(2章)、面接法から脳画像まで含むアセスメント論(3章)、各精神障害(第5・6章)や介入アプローチ(7~10章)と、臨床心理学的知識は一通り記載されている。この一冊さえ理解できれば、臨床心理学に関する入門的知識は概ね獲得できたと言ってもいいのではないか。

 ただ、網羅性を向上させた代わりに一つ一つのテーマが薄く(見開き1ページ程度のものがほとんど)、あくまで「入門的な知識」しか身に着けられない。そのため、この一冊だけで臨床心理学という学問を理解するのは不可能であろう。しかし、それを差し引いても良書と言える。一歩突っ込んだ内容は、別書を読めばよいだけのことである。

 

臨床心理学の大学院試験や臨床心理士試験においても重宝する一冊。やや情報が古くなってきたことと、情報の浅さがネックか。

 

おすすめ度:90点

対象:学部1年生~臨床心理士試験

 

よくわかる臨床心理学 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

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