心理相談と子育て支援に役立つ親面接入門
正しさや流派は別にして、何を考えて面接をやっているかを知ることができる機会は、本では貴重だと思う。
子どものプレイセラピーと並行に行う場合での、親面接の解説書。内容は教科書的な知識の羅列ではない。計4つのケースを題材に、セラピストがどういったことを考えているかを具体的に解説している。
その一方、最後のページで「面接のポイント」としていわゆる「面接の知識」が各章でどのように取り入れられているかが紹介されている。すべて読み終わった後に再度これらの点を見ながら頭から読み直すと、教科書的な知識が具体的にどのような形でセラピストから聞かれるのか、そこで得た情報がどのように面接に活かされているかがよくわかる。
本書は親面接を行う人であれば、一読しておくべきであろう。取り上げられているケースに著者の流派の色がやや出ているのは間違いないが、この本で得られる知識やその応用法はどの流派限らずとても勉強になる。
また、臨床の知識と現場経験がある人が読むほうが勉強になると思う。臨床心理学的な知識をある程度持った人が「それらの知識をどのように活かすか」・「上手いセラピストがどのようなことを考えているか」を知るための一冊といえる。親面接について初めて学ぶものが勉強のために読むという目的であれば、他書の方が良い。
おすすめ度:80点
対象者:臨床心理士
著者:
吉田 弘道 (著)
目次:
1章 私だって、いつも一緒は疲れます
2章 子どもが離れていくのが淋しいのです
3章 もう、どうしたらいいのかわかりません
4章 私のことを大事にしてほしいのです