高次脳機能障害学
著者:
第1章 高次脳機能障害の診療―基礎知識
第2章 失語・失読・失書
第3章 失行、行為・行動の障害
第4章 失認と関連症状
第5章 半側空間無視・病態失認・視空間性障害
第6章 記憶障害・痴呆
第7章 遂行機能障害・せん妄―高次脳機能の統合・利用障害
目次:
石合 純夫 (著)
言わずと知れた、高次脳機能障害に関する名著。目次で紹介したような障害を扱う領域や神経心理学的検査を行う者は必ず読むべき一冊(既に読んでいる人がほとんどであることを祈る。それくらい必読の書)。
1章では高次脳機能障害の概要として、定義や診断法、神経心理学的検査および脳の基礎について概略が記載されている。また、脳画像診断についても丁寧に解説がなされており、各部位がどのように画像的に観察されるかを紹介している。以後の章でも脳部位に関する解説は多くなされるため、もし神経科学的な知識に自信がない場合は
や
といった他書をあたりながら読むことを勧める。
2章以降では、障害の各論に入る。2章では失語・失読・失書といった言語の障害、3章では失行などの行為の障害、4章では失認、5章では無視や空間認知に関する障害、6章では主に記憶、7章では認知症やせん妄、外傷性による障害を取り上げ、各障害の定義や症状、分類、それを評価するための検査やリハビリの方法など細かに紹介されている。また、その障害の基盤となる脳機能障害も丁寧に解説されている。
本書は他では類を見ないほど丁寧かつ詳細に高次脳機能障害として扱われる障害について書かれた名著である。その分難解なことも多いが(特に基盤となる脳部位との関連)、高次脳機能障害や神経心理学的検査を実施する者であれば必須の知識である。扱わないような環境であったとしても、患者・クライエントの苦痛が脳による障害かどうかを判別することはとても重要である。また、大学院受験において高次脳機能障害は出題範囲であることも多い。臨床心理士試験においても同様である。臨床現場に出る者であれば、必ず一読するように。
おすすめ度:100点
対象者:大学院受験者・大学院生・臨床心理士受験者・臨床心理士