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進化心理学入門

著者:

ジョン・H. カートライト (著), John H. Cartwright (原著), 鈴木 光太郎 (翻訳), 河野 和明 (翻訳)

 

目次:

第1章 自然淘汰と適応
第2章 2つの性による繁殖
第3章 性淘汰
第4章 人間の性を解明する
第5章 心の原型--適応反応としての恐怖と不安
第6章 心の病を進化から説明する
第7章 脳の大きさの進化
第8章 知能の進化
訳者あとがき
用語解説
文献/索引

 

 

 入門書の名著が多い心理学エレメンタルシリーズの進化心理学版。他に漏れず、進化心理学、ならびに進化論の入門書としてはかなり良く、学部生でもスラスラと読め理解できる内容となっている。

 1章~4章は進化論の基礎の概説がなされている。1章は自然淘汰と適応について基本的な解説を行い、2章では性淘汰の基礎となる繁殖及び配偶戦略について解説している。3章では性淘汰の概説を行い、4章ではヒトの性に焦点を当てて魅力や嫉妬を取り上げ、過去の研究を紹介しながら性と進化の関係性について解説している。

 5章からは進化心理学的なトピックスの1つとして代表的な感情、特に不安と恐怖を題材になぜ感情が出現するのかを解説している。6章ではさらに一歩進んで、精神障害進化心理学的に取り上げ、多くの仮説を紹介している。7章では脳の大きさに関するトピックを取り上げ、8章では脳の巨大化と強く関連がある(とされる)知能について、進化心理学的観点から取り上げている。

 本書は題名通り、進化心理学の入門書である。進化心理学はとっつきにくい印象を持たれがちであるが、学ぶほど心の理解にとって重要であることが感じられると思う。基礎の研究者はもちろんのこと、感情や知能といったトピックスを考える上で、臨床心理学を学ぶ者にとっても必須の知識である。

 

おすすめ度:80点

対象者:学部生・大学院生・臨床心理士

 

進化心理学入門 (心理学エレメンタルズ)

進化心理学入門 (心理学エレメンタルズ)